従来は歯が痛くなってから、仕方なく歯科にかかるのが一般的でした。痛みや自覚症状が出てからの来院ですと、虫歯は進行していることが多く、歯を削って治療するしか選択肢がありませんでした。
しかし、歯は削ってしまうと元に戻りません。虫歯の部分をとって被せ物をしても、ご自身の歯と被せ物の間には目に見えないほどの小さな隙間があります。その隙間は汚れが溜まりやすく、将来的に虫歯になりやすい箇所になります。
虫歯は大きくなればなるほど、来院回数も費用もかかります。また、歯周病は進行すると歯茎から出血、腫れる、歯がグラグラするなどの症状がでます。最終的には、歯が抜けてしまいます。
歯がないと食べ物を美味しくいただくことも出来なくなります。入れ歯という方法もありますが、ご自身の歯よりも噛みにくくなりますし、美味しさ(歯ざわり、食感)も半減してしまいます。
では、そうならないためにはどうしたら良いのでしょうか?
砂糖を控える、規則正しい生活を送る、なども大切ですが、一番はプラークコントロールです。プラークというのは歯垢(ネバネバした細菌の塊)です。この歯垢1mgの中に億単位の細菌が生息しています。
プラークはネバネバしているので、うがいではとることが出来ません。歯ブラシや歯間ブラシ、フロス(糸ようじ)などを使い、しっかりとこすって落とすことが重要です。日々の歯磨きを怠らないことが個人で出来る予防(セルフケア)なのです。
しかし、歯並びや利き手の関係で、歯ブラシの届きにくい場所があります。そういった場所のプラークを毎日完全に落としきるのは、歯科医師でも不可能に近いと言われています。溜まったプラークは歯石になります。歯石は硬いので、歯ブラシでは落とせません。
そこで、定期的な歯科医師・歯科衛生士によるクリーニング(プロフェッショナルケア)が必要となります。専用器具を使用して、個々のお口の中の状態やご希望に合わせて、数種類の器具の中から最適なものを用いて、汚れや着色を除去していきます。
汚れは一度しっかり取り除いても、数か月後には再形成されますから、定期的に歯科医院で予防(メンテナンス)を受けることが大切です。
万が一その時に虫歯が出来ていても、早期発見・早期治療を行えば、最小限に被害を抑えることが出来ます。